とある日。
マッチングアプリで新しい出会いを求めていた。
そして、1人の女性とマッチすることに成功した。
彼女の名前はKさん。26歳、職業はOL。「素敵な人と出会えればと思って始めました」と記入されたプロフィール。
サクラか?と思うような、あまりコレといった特徴もなく普通すぎるプロフィールに少し違和感を感じたが、綺麗な人には目がない僕はそのままやり取りを続けた。
1日数通程度のメッセージを何日間かやりとりをして、実際に会う事になった!
場所は新宿。なんでも揃う街、新宿。時刻は15時。
駅前で待ち合わせをしてその時を待つ。
(あの子かな?あの子か?あの子やったら最高やん)
1人で歩いている人や待ち合わせをしている人をみるとみんなKさんだと思ってしまう。(マッチングアプリあるある)
1人で勝手に、Kさんを探せ!をしていると、「着きました!」とKさんから1通のメッセージが届いた。事前にラインを交換していたので、電話をして細かい場所の確認をしてご対面。
スキニージーンズにヒールを合わせ、細身でスラっと背も高くスタイルの良いKさんがいた。
(ちなみに僕はスキニージーンズが大好きだ)
ヒールはそこまで高くないが、身長がおよそ165cmほどあり、ヒールを履くと目線が僕と同じくらいだ。(猫背の僕は頑張って背筋を伸ばし張り合う)
お互い緊張しながらも軽く自己紹介をして、とりあえずその場を離れるように行先も決まっていないが歩き出した。
まるで僕の視線を呼ぶかのように、コツコツと良い音を奏でる彼女のヒール音。新宿の騒がしい音が消え、彼女の歩くヒール音だけが僕の耳に残る。
コツコツと鳴るヒールが気になり視線を下に向け、その後はチラッと横目で彼女の脚に釘付け。
(もう一度言うが、僕はスキニージーンズが大好きだ)
歩きながらも会話をして、ヒールの音を聞き、視線はスキニージーンズ。
(僕の口、耳、目はなんとも大忙しだ。)
歩き始めて10分もかかってないくらいだろうか。一つのカフェを見つけたのでそこに入ることに。
対面に座りじっくりお互いの目を合わせながら話す。緊張なのか、彼女が綺麗だからか、少し目を見てはすぐに反らしてしまう。(思春期の男の子かて!)
コーヒーにハマっている僕は、ブラックコーヒーを注文。
(コーヒーにハマったしょーもない理由はこちら。)
彼女は、何を飲もうか悩みながらメニューとにらめっこ。
「子供っぽくて恥ずかしいけど、バナナジュースで」
と照れながらバナナジュースを注文した。
〇〇ティーなど、聞いたこともないティーを頼む女の子は多いが、この世に、初対面の人とカフェに入ってバナナジュースを頼む人いますか?(かわいすぎる)
大人っぽく、落ち着いた雰囲気の彼女から、「バナナジュース」というワードを聞いただけで、見た目とのギャップで心を奪われそうになった。
注文したドリンクも運ばれて来たので、飲みながらお互いゆっくりと会話を楽しんだ。
- 3年ほど前に上京
- OLをしながら夜はキャバ嬢をしている
- 彼氏は1年ほどいない
- 好きなタイプは、落ち着きがあって余裕があるような人
ざっくりとまとめるとこんな感じだ。
昼のOL職だけだと生活がカツカツなので、夜も週2,3日程度キャバクラで働いているみたいだ。
彼女的には、キャバクラで働いている事を少し引け目に感じているみたいだ。「そーゆー子はどう思う?」と聞かれたので、
「全然気にしない。むしろ昼も働いてるのに生活の為に頑張っていてすごいなって思う」
と懐のでかさをアピールした。
強がって言った訳でもなく、キャバクラで働いていても特になにも思わないタイプだ。というのも、結構ドライな所もあり、付き合って彼女になってもプライベートや仕事など詮索もせず、会っていない時は、どこで何をしているかもあまり気にならないタイプなのだ。
そんな事を伝えると、そんな人もいるんだ。と少し驚いた様子を見せたKさん。
どうやら、今まで出会った人は何人かいたみたいだが、ほとんどの人が、キャバクラで働いている事が嫌な人が多いみたいでうまくいかなかったそうだ。
まだ付き合ってもいないのに、むしろ初対面なのに、なぜか彼女とは深いそういった恋愛事情を話せる、そんな雰囲気があった。
しかし、なぜか素の自分が出せない自分がいた。
すごく綺麗でしっかりしていて、魅力のある人だが、上品すぎて少し気を遣ってしまうというのか。
例えるなら、僕は焼き鳥は串のままかぶりついて食べるし、女の子もそう食べる子が良い。
しかし、彼女は一旦串からお皿に置き1つずつ食べるタイプだ。
食べ方が悪いわけではなく、相性というのか、気を遣ってしまう。そう上品すぎる。
僕みたいな田舎生まれの田舎育ち、ごみ袋はパンパンになっても足で踏んで強引に押し込めと教わった関西人には、合わない感じがした。
学生の頃は、かわいい子、明るい子、一緒にいると楽しい子、そんな単純なことで好きになり恋愛ができたが、大人になればなるほどそう単純な事だけで好きになれなくなっている。
外見だけでなく、中身を見るようになってきているということなのだろうか。
その後、Kさんは、お昼ごはんを食べていなかったらしく、オムライスとレモンティーを注文した。
僕はオムライスをおいしそうに頬張る姿をただただ眺めていた。
時が経つのも早く、カフェに入り3時間くらい経ったのでお店を出る事に。オムライス食べてドリンク2杯飲んだから、という事でKさんが奢ってくれた。
初めてキャバ嬢に奢ってもらった日になった。ごちそうさまでした。
そしてお互い健全に帰り、カフェデートは幕を閉じたのだ。